「宣伝文0003」 『悪魔の用語辞典』(副島隆彦+SNSI副島国家戦略研究所編著、KKベストセラーズ刊、2009年12月16日)が発売されました 古村治彦(ふるむらはるひこ)筆 2009年12月16日

 

 ウェブサイト「副島隆彦の論文教室」の管理人、古村治彦(ふるむらはるひこ)です。本日はこの場をお借りしまして、新刊本の宣伝をさせていただきます。

 2009年12月16日、副島隆彦+SNSI副島国家戦略研究所編著『悪魔の用語辞典 The Devil’s Dictionary これだけ知ればあなたも知識人』(KKベストセラーズ刊)が発売されました。この本は、副島隆彦先生と弟子たちによる論文集で、第四弾となります。

『悪魔の用語辞典』

 『悪魔の用語辞典』という言葉から、多くの皆さんは、アメリカの作家アンブローズ・ビアス(Ambrose Bierce)が書いた『悪魔の辞典』(The Devil’s Dictionary)のことを思い浮かべると思います。ビアスの『悪魔の辞典』と言えば、様々な単語や用語をシニカルな調子で定義づけていることで知られています。時には、余りにも冷徹な定義で、読者を嫌な気持ちにさせる定義づけもあります。

    

アンブローズ・ビアス    『悪魔の辞典』 

 ビアスは、読者たちがウィットの利いた定義づけに笑うことも予想したでしょうが、いやーな気持ちになること狙って、『悪魔の辞典』を書いたのです。それでは、読者がいやーな気持ちになるのはどうしてでしょうか。それは、読者が定義を読んで、「それはその通りなんだけど、そこまで言ってしまってはいけない。世の中には言ってはいけないこともあるのだから」と考えるからです。ですから、いやーな気持ちになる定義づけこそ、その言葉の真の意味を語っていることになります。

 そして、ビアスは、本のタイトルに「悪魔」という言葉を使いました。その凄さについて、副島先生は『悪魔の用語辞典』の中で、次のように書いています。

(引用はじめ)

 「悪魔(デビル)こそは、この世の良きもののすべてを所有している」と、アンブローズ・ビアスは書いている。ここにキリスト教の神(ゴッド)とそれを祭り上げている司祭(プリースト)・僧侶(モンク)階級のすべてを敵に回して皮肉と冷笑で闘おうとするビアスの決意が込められている。

 悪魔であること、悪魔の立場を肯定し褒め讃えることに何の意味があるのか?という疑問がここで生まれる。もしかしたら物事(ものごと)は裏側から見ることによって正確に見ることができる。表面の表側のキレイごとだけではダメである。全体が見えない。あえて通常の、ありきたりの考えに逆らって、裏に隠された真実を暴き立ててぶった切るように「否定的価値判断(ひていてきかちはんだん)」をして見せることが必要であり、それこそは知性(インテレクチュアリティ)なるものがもつ本来的な命である。(『悪魔の用語辞典』、13−14ページ)

(引用終わり)

 ビアスは、「悪魔であることは、真実を語ることなのだ」と喝破しているのです。そして、副島先生は、新刊『悪魔の用語辞典』の〔巻頭の文〕『悪魔の用語辞典を出す理由』の中で、悪魔崇拝者とか神秘主義者などと呼ばれた人々が、実は真実を語る人々であったことを、思想や宗教の歴史を通じて書いています。この部分は圧巻であり、俗な言葉で言うと、「目から鱗が落ち」ます。是非、多くの皆さんに読んでいただきたいと思います。

 副島先生と私たちSNSIは、前から、欧米の知識を日本に紹介し、導入したいと考えていましたが、その方法論がうまく作れませんでした。それが、今回のお話をいただいて、出来上がりました。その方法論は、まず、キーワードを設定することから始まります。そして、権威と定評がある、オックスフォード英語辞典(Oxford English Dictionary)で意味を調べ翻訳します。そして、キーワードの意味として一般化しているものに反対したり、新しい意味を加えたりします。今回は「正義」から「預言者」まで21のキーワードが取り上げられています。それぞれ、副島先生と弟子たちが担当しましたが、最後には、副島先生が手を入れて、読みやすく、分かりやすい文章になっています。

 中身に関しては、様々なキーワードについて、個性豊かな執筆陣によって書かれております。私も今回、「社会工学(social engineering)」というキーワードについて書きました。

 どうぞよろしくお願いいたします。

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『悪魔の用語辞典』目次

〔巻頭の文〕『悪魔の用語辞典』を出す理由  副島隆彦

今こそ『悪魔の辞典』の復権を
神秘主義・悪魔主義思想の本当の意味
強欲・拝金、淫乱への激越な批判
“温厚な”体制派の偽善を暴く思想のことば
私、副島隆彦こそは悪魔であった
そもそもの人間の正しい行動とは何か
世界宗教の中の「愛の思想」
強欲と拝金の思想の誕生
神秘主義思想の神秘なき真実
原始宗教にこそ正しい生き方がある

1.【正義】justice  ――justiceとは「正義判断」である  副島隆彦

2.【官僚組織】bureaucracy  ――なぜ彼らは責任を負わないのか  廣瀬哲雄

3.【税金】tax ――税とは国家の悪そのものである  廣瀬哲雄

4.【陰謀】conspiracy ――「共同謀議」が正しい訳語  中田安彦

5.【エリート】elite ――ネットワークによって構成される支配階級  中田安彦

6.【社会工学】social engineering ――文明化外科手術  古村治彦

7.【正しい/間違い】right / wrong ――正しいとはどういうことか  吉田祐二

8.【良いこと/悪いこと】good / bad ――価値判断と倫理判断の違い  吉田祐二

9.【自然】nature ――神がつくったもの  下條竜夫

10.【自然法】natural law ――自然権とはどう違うか  中谷央介

11.【啓蒙】enlightenment ――自由な社会とは何か  下條竜夫

12.【政治】politics ――気持ちよく日常生活を送るために  佐々木貴浩

13.【資本主義】capitalism ――言葉の歴史に宿る巨大なウソ  石井利明

14.【価格】price ――「価値」から「価格」は生まれない  根尾知史

15.【スピリチュアリズム】spiritualism ――バラモン教の差別思想  原岡弘行

16.【マインド】mind ――英語圏の人間が言うマインドは「心」か「思考」か?  崎谷博征

17.【愛】love ――人が心に安らぎがあり、穏やかに暮らせること  足助友子

18.【ポリティカル・コレクトネス】political correctness ――正義の名の下の検閲  石井利明

19.【フェミニズム】feminism ――まっとうなオトナになるために  藤森かよこ

20.【分析】analysis ――世界を把握するための鋭利なナイフ  高野淳

21.【預言者】prophet ――抗えない魅力  高野淳

あとがき
執筆者略歴

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※ウェブサイト「副島隆彦の学問道場」でも販売しております。
こちらからどうぞ

(終わり)