「宣伝文0007」 『放射能のタブー 悪魔の思想辞典〈3〉』(副島隆彦+SNSI副島国家戦略研究所編著、KKベストセラーズ刊、2011年10月)が2011年10月26日に発売されました。 古村治彦筆 2011年10月28日

 ウェブサイト「副島隆彦の論文教室」の管理人、古村治彦(ふるむらはるひこ)です。本日はこの場をお借りしまして、新刊本『放射能のタブー』の宣伝をさせていただきます。

※ウェブサイト「副島隆彦の学問道場」に掲載されたSNSI中田安彦研究員による『放射能のタブー』の紹介文 へはこちらからどうぞ。

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『放射能のタブー』

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<目次> 
まえがき

[対談]チェルノブイリ原発事故の真実と福島の今後 ラファエリ・アルチュニアン 副島隆彦

文科省から出ている放射線情報は専門的見地からも十分すぎる情報である
チェルノブイリ原発事故で作業員は何人死んだか
チェルノブイリ原発事故で一般住民の健康被害の真実はどうだったか
「放射能を極度に危険視するのは科学ではなく政治的な問題」(アルチュニアン)
放射能による遺伝性疾患はあり得ない
人工的な放射性元素が特に危険という考えは間違っている

1 放射能のタブー                     副島隆彦
2 福島第一原発から大気に放出された放射性物質のベクレル量はチェルノ  ブイリの1000分の1                 下條竜夫
3 放射線の規制値に科学的根拠はない            大川治美
4 微量の放射線は生命の必須栄養素だ            六城雅敦
◇体験こそがすごいんだ――わたしの福島原発体験記      川端優美子
5 自主技術を否定した日本の原子力開発           足助友子
6 サラリーマン根性丸出しの臆病マスメディアを許さない   石井利明
7 「属国」日本が展開する原発輸出とその司令塔・前田匡史  古村治彦
8 二酸化炭素地下注入と原子力発電所            桑原義明
◇福島復興活動本部 活動日誌(1)            下仲もとゆき
9 日本の3・11から世界に金融統制のうねりが巻き起こった  根尾知史
10 民間が所有する電力会社                 吉田祐二
11 東電はファシズムである――戦時総力戦体制が福島第一原発事故を生んだ  佐藤研一朗
12 タダより高かった原発助成金              藤森かよこ
13 “コンセンサス”ではなく“空気”に支配されてきた、日本の原発推進派と  反原発教信者たち                   中田安彦
◇福島復興活動本部 活動日誌(2) 吉見 理

執筆者略歴

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 2011年10月26日、副島隆彦+SNSI副島国家戦略研究所編著『放射能のタブー 悪魔の思想辞典〈3〉』(KKベストセラーズ刊)が発売されました。この本は、副島隆彦先生と弟子たちによる論文集で、早いもので第六弾の刊行となります。

 今回の論文集は『悪魔の用語辞典』シリーズに形式を踏襲しながら、日本全体が直面した東日本大震災(大地震と津波による大規模な被害)、東京電力福島第一原子力発電所の事故、そしてこれらに関連して起こったさまざまな事象について、筆者それぞれの視点で論稿を書き上げ、編集・刊行されたものです。本のタイトルや表紙で嫌な気持ちになる人もいると思いますが、手に取って少しでも良いので眺めてみていただけたらと思います。

 『放射能のタブー』には副島隆彦先生とロシア科学アカデミー原子力エネルギー安全発展問題研究所副所長であるラファエリ・アルチュニアン博士の対談の内容が収録されています。アルチュニアン博士はチェルノブイリ原発の事故を受けて旧ソ連が設立した研究所で約25年間にわたり事故について調査・研究を行ってきた人物です。原発事故や放射能が人間に与える影響について最前線で研究してきたベテラン科学者です。アルチュニアン博士からはチェルノブイリ原発事故以降の研究の成果が語られています。

 私はこの文章を読むまでチェルノブイリ原発事故で何十万人もの人々が亡くなった、特に子供たちが大きな被害を受けたと思っていました。しかし、それは私の印象でしかありませんでした。詳しくは是非対談をお読みいただきいと思います。25年間チェルノブイリ事故と対峙してきたベテランの話には説得力があります。

 私(古村治彦)が執筆しました文章は「7 「属国」日本が展開する原発輸出とその司令塔・前田匡史」というタイトルで、172ページから183ページに収録されています。私は日本政府と原発メーカーの原発輸出について取り上げました。

 福島第一原発事故が発生したのち、当時の菅直人総理が国内の脱原発姿勢を強めました。菅総理は自然エネルギーを推進すると明言し、また中部電力浜岡原子力発電所の全面停止を要請しました。しかし、日本の原発輸出に関しては歯切れの悪いものでした。輸出に関しては相手があることですからこちら側の意向だけでどうこうすることはできません。しかし、民主党は原発輸出を停止すると明言しませんでした。国内では脱原発でありながら、海外輸出を継続するというギャップに不思議を感じ、私はいろいろと調べてみました。

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前田匡史

 そして、日本の原発輸出には司令塔がおり、その司令塔がアメリカ政府を動かす人々と非常に深い関係にあるということが分かりました。そして、日本政府は自分たちだけで原発輸出を止めることができない、アメリカ政府の意向もあるのだということが分かりました。その司令塔とは菅内閣の内閣官房参与で、仙谷由人元官房長官の右腕と呼ばれている前田匡史(まえだただし)という人物です。この前田匡史という人物は、昨年、菅内閣が発表した新成長戦略の柱となっているインフラのパッケージ型輸出を主導している人物で、現在は国際協力銀行の部長の地位にあります。詳しくはどうぞ拙文をお読みいただきたく存じます。

 今回も多士済済の執筆陣が揃いました。下仲ともゆき氏と吉見理氏による現地からの報告文「◇福島復興活動本部 活動日誌(1)」「◇福島復興活動本部 活動日誌(2)」は特に是非お読みいただきたい内容になっています。「福島に縁もゆかりもない若者2人が福島で生活を立ち上げ、そこで生活し、生活の中で原発事故後の地元の様子を目撃していく」このことが淡々とした報告文となっています。私も2011年4月12日に郡山市から福島第一原発正門前、南相馬市、飯館村と回り、その後も2度ほど学問道場の現地活動本部に滞在しています。そうした経験を通して得た知識や体験は私の思考の柱となっています。「福島県までとても行けない」という皆さんは、下仲氏と吉見氏の報告分を読んでみてください。刺激的なことが書いてあるわけではありません。ただありのままの様子が描かれています。それこそが今の状況下で一番得難いものではないかと私は考えます。

 どの論稿も充実した内容になっています。放射能物質の飛散や放射線については、下條竜夫氏と大川治美氏の論稿である「2 福島第一原発から大気に放出された放射性物質のベクレル量はチェルノブイリの1000分の1 下條竜夫」「3 放射線の規制値に科学的根拠はない 大川治美」を読んでみてください。 下條論文はプーム(煙突)モデルという公害の被害測定に使われたモデルを用いて福島第一原発事故における放射能物質の大気中への放出量をチェルノブイリ原発事故の1000分の1であることを示しています。日本政府が発表した10分の1という数字は政治的な裏があると下條氏は述べています。

 毛色が変わった論文では藤森かよこ氏の論文「12 タダより高かった原発助成金 藤森かよこ」があります。藤森氏は大学教授という立場から、研究助成金が学問の独立性を侵害し、知識人の「国畜化」を行っているという主張を基に、日本の原子力開発、福島第一原発事故を分析しています。

 これら以外にも様々な角度から多様な内容の論稿が収録されています。是非手に取ってお読みいただけますようにお願い申し上げます。

 


『放射能のタブー』

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(終わり)