「宣伝文0008」 本サイト管理人・古村治彦(ふるむらはるひこ)の初の単著『アメリカ政治の秘密 日本人が知らない世界支配の構造』(PHP研究所、2012年5月)が発売されました。今回は、『アメリカ政治の秘密』を皆様にご紹介いたします。古村治彦記 2012年5月17日

 ウェブサイト「副島隆彦の論文教室」の管理人・古村治彦(ふるむらはるひこ)です。本日は、私の初めての単著であります、『アメリカ政治の秘密 日本人が知らない世界支配の構造』(PHP研究所、2012年5月)を皆様にご紹介いたします。

『アメリカ政治の秘密』

※兄弟サイト「副島隆彦の学問道場」の「今日のぼやき・広報ページ」に中田安彦(アルルの男・ヒロシ)氏がご懇篤なる書評・紹介文「「1306」 爆弾のような破壊力を持った一冊!! 古村治彦著『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所)を強力に推薦する。2012年5月13日」を掲載してくださいました。ありがとうございます。書評・紹介文へは、こちらからどうぞ。

※アマゾンのランキングで全体の121位(2012年5月14日)、「社会・政治」分野の第7位(2012年5月16日)、「政治」、「外交・国際関係」各分野(2012年5月16日)の第1位を記録しました。どうもありがとうございます。引き続き、よろしくお願い申し上げます。

 本書『アメリカ政治の秘密』は大きく2本の柱でできています。1本目の柱は、アメリカ外交の研究であり、2本目の柱は、日米関係・ジャパン・ハンドラーズの研究です。この本は、副島隆彦先生の『属国・日本論』(五月書房)と『』、並びに中田安彦氏の『ジャパン・ハンドラーズ』(日本文芸社)の流れを受け継いで、発展させたものです。ただの真似の本ではなく、私なりの見方や調査研究、勉強した成果を盛り込んだ内容になっております。

 本書は、8章から成り立っており、それぞれが独立していますが、一つの線で貫かれています。それは、「アメリカの世界管理」ということであり、キーワードは、「民主化」「介入主義」「管理」「ジャパン・ハンドラーズ」ということになります。

 この本をより楽しんでいただける方法として、インターネットを使った人物の画像検索を読者の皆様にご提案いたします。本書には合計すると100名以上の人物が出てまいりますが、紙幅の関係上、全員の顔写真を掲載することはできませんでした。ですが、よりビビッドに内容を楽しんでいただくため、インターネットを使っての人物の顔写真検索をしていただくとよろしいかと思います。そのやり方ですが、以下に書きます。この他の方法もありますが、一例として参考にしていただければ幸いです。

(1)検索サイト「グーグル(Google)」(http://www.google.co.jp/)を開く
(2)左上にある「画像」をクリックする(表示場所が異なることもあります)
(3)知りたい人の名前を入れる(外国人の場合にはアルファベットを入れる)
(例)ジェラルド・カーティス(Gerald L. Curtis)
(4)たくさんの写真が出てくるが、同姓同名の別人が出ることがあるので、気を付ける。
(5)インターネット上の百科事典である「ウィキペディア日本語版」にも写真が掲載されていることがある(http://ja.wikipedia.org/wiki/)

 この本が、多くの皆様に読んでいただけて、読者の皆様にとって有益なものとなることのみを今は祈るばかりです。どうぞよろしくお願い申し上げます。以下に、私の書きました、まえがきとあとがきを掲載します。 なお、副島隆彦先生に書いていただいた序文と目次は、ブログ「古村治彦の酔生夢死日記」上に掲載しております。こちらもご覧いただければ幸いです。 ※ブログへは、こちらからどうぞ。

(貼り付けはじめ)

まえがき

 本書『アメリカ政治の秘密』は、アメリカ外交を「民主化」「近代化」「管理」をキーワードにして読み解くことを目的にしている。そして、私は、本書を通じて、「アメリカは、デモクラシー、自由市場、人権と言った価値観で世界を都合の良いように変革し、管理してきた。日米関係も管理し、管理される関係であった」ということを検証していく。

 アメリカは、第二次世界大戦後、世界覇権国、世界の警察官として行動してきた。世界各国に介入し、戦争までも起こしてきた。こうしたアメリカの介入の際に常に唱えられるのが、デモクラシー、自由市場、人権といった価値観だった。アメリカはこうした価値観を、錦の御旗にして世界各国に介入してきた。また、冷戦期は、発展途上国には、「欧米諸国のような近代的な国になることが良いことだ」という近代化理論に基づいて介入をしてきた。

 アメリカの外交の基礎となっている民主化や近代化は一見、素晴らしいことのように思える。しかし、アメリカは、こうした誰も反対できない価値観を用いて、外国に介入する。そして、アメリカは、アメリカにとって都合の良い世界秩序や世界のルール作りをしようとしている。これは、現在、日本国内で議論となっている環太平洋パートナーシップ(TPP)を見ても明らかだ。ルールは守る立場ではなく、守らせる立場にある方が有利である。アメリカがデモクラシー、自由市場、人権を世界中に拡散しようとするのは、それがアメリカの国益に適うからである。

 そして、アメリカは、介入が終わり、民主化が達成された国々を、今度はアメリカの国益に資するように管理する。そのための人材をハンドラーズと言う。日本を管理する人材は、ジャパン・ハンドラーズである。本書第五章でも書いたが、日本管理路線が本格化したのは、ケネディ大統領時代のライシャワー駐日大使時代からである。それから半世紀経過した。その間、ジャパン・ハンドラーズは、日本の政界に幅広い人脈を作り上げた。それは自民党以外の野党にも広がり、現在の民主党にもつながっている。

 本書前半部では、アメリカ外交について分析していく。まず第一章で、オバマ政権の外交姿勢の変貌を分析する。オバマ政権の外交姿勢の変化を象徴するものが、北アフリカ諸国で起きた「アラブの春」である。そして、オバマ大統領の意向とは異なる外交を主張した政権内の人々にスポットを当てる。第二章では、アメリカ外交の目的である民主化について分析を試みる。民主化はアメリカ外交の基本理念であり、その実現のための実行機関があるということを示す。また、民主化についての政治核の諸理論も併せて紹介する。第三章ではアメリカ外交の潮流を見ていく。そして、オバマ大統領の前任である、ジョージ・W・ブッシュ大統領の外交をリードしたネオコン派について検証する。第四章では、アメリカの介入主義外交の歴史を遡(ルビ:さかのぼ)る。アメリカの介入主義外交を始めたのは、ジョン・F・ケネディ大統領である。ケネディ大統領の外交政策を検証する。

 本書後半部では、ジャパン・ハンドラーズについて掘り下げる。第五章で、アメリカの日本管理路線、ジャパン・ハンドラーズの創始者であるエドウィン・O・ライシャワーとライシャワーの路線に反対したチャルマーズ・ジョンソンを取り上げる。ライシャワーは、近代化という第六章、第七章、第八章では、それぞれ、ジェラルド・カーティス、ケント・カルダー、リチャード・サミュエルズといったジャパン・ハンドラーズを代表する人々を取り上げる。彼らの人脈や日本側のカウンターパート、それから彼らが何を研究していくかを検証していく。

 本書を全部読む時間がないというお忙しい方や、横文字の名前や単語が苦手だという方には、まず後半部からお読みいただきたい。後半部は、日本のこと、そしてジャパン・ハンドラーズについて書かれている。日本について書かれているので、馴染みのある話題がたくさん出てくるので、読みやすいと思う。そのあと、前半部のアメリカ外交についての部分を読んでいただいても、理解していただけると思う。もちろん、最初から順番に読んでいただければ、読者の皆さんに本書の内容をより理解していただきやすい。

 私は、アメリカ外交と日米関係に関して、一つのストーリーを読者の皆さんに提供したいと思って、本書を書いた。私は、アメリカ外交の裏にある凶暴さや狡猾さを描き出すことができたと思う。本書が読者の皆様にとって、お役にたつ本となることを今はただただ祈るばかりだ。

二〇一二年三月二日

古村治彦

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あとがき

 本書では、アメリカの外交をオバマ政権の外交から遡(ルビ:さかのぼ)って検証していった。アメリカの外交の基本にあるのは民主化である。そのために、外国に介入していく。この点では、ブッシュ前大統領時代の外交とオバマ大統領の外交は変化がない。アメリカは、デモクラシーや人権といった人類普遍の、そして不変の素晴らしい理念を錦の御旗にして、外国に介入し、管理しようとしてきた。

 アメリカはこれから衰退していく。衰退は既に始まっている。オバマ大統領は外交のアジア回帰と軍事費の削減を発表した。こうした動きはアメリカの衰退を示している。しかし、「腐っても鯛」ということわざもある。アメリカは世界覇権国の地位を失うだろう。しかし、それにはこれからしばらく時間がかかるだろう。また、アメリカが次の世界覇権国になると予想される中国の台頭をただ黙って見ていることはない。

 アメリカは世界覇権国の地位から完全に滑り落ちる前に、自分たちが錦の御旗として掲げるデモクラシー、自由市場、人権を世界に拡散しようとするだろう。なぜなら、こうした諸原理が世界で拡散していけば、アメリカが世界覇権国の地位から滑り落ちたとしても、しばらくはルールを設定した存在として、国際政治において重要な地位を占めることができるからだ。

 その一例が一昨年から昨年にかけて発生したアラブの春であり、日本の関連で言えば、環太平洋パートナーシップ(TPP)である。アメリカは、民主化という錦の御旗を掲げて外国の体制転換を行ってきたし、これからも行っていく。そのための人材や機関を整えている。それは本書の第2章で書いた通りだ。

 世界覇権国としてのアメリカの衰退は、日米関係にも影響を与える。アメリカの属国である日本管理が本格化して半世紀が経った。この五〇年間に日本の政界、官界、財界に張り巡らされた日本管理の人脈は、地下茎のようになってその全貌は見えない。しかし、ところどころに地上に顔を出しているところがある。

 話は少しそれるが、以前にたけのこ堀りの名人がたけのこを収穫する様子をあるテレビ番組で見たことがある。名人は、地上にほんの先っぽだけを出したたけのこ(素人にはどこにあるのか全く分からない)を見つけて、「大体これくらいの大きさかな」と言って掘っていく。そして名人が言った通りの大きさのたけのこが出てくる。

 私が本書の後半部で行ったのは、政界たけのこ堀りと言える作業だ。日本政界に張り巡らされた地下茎が土の表面に顔を出している部分を発見し、それを掘り起こした。日本政界の地下茎が顔を出している部分、それは、首相動静の一行、政治家や学者たちの書いた本の一段落である。私は、日本政界のたけのこ堀りの作業をこれからも続けていきたいと考えている。

 「ジャパン・ハンドラーズによる日本管理なんてネガティブなことをぐずぐず言っていても仕方がない。前向きにならなきゃ」という意見を言われたことがある。しかし、こうした意見は、日本の現状から目を背けるだけの空元気、盲目的な突撃至上主義でしかない。

 ジャパン・ハンドラーズの作り上げた人脈の地下茎は、与党であり続けた自民党だけでなく、野党にも及んでいた。だから、二〇〇九年に政権交代が起き、民主党が政権与党の座についても何も変わらない。そのことを私は本書の後半部で書いた。ジャパン・ハンドラーズたちは、自民党が与党時代に既に野党にまで触手を伸ばしていた。そして地下茎のような人脈を形成していた。自民党だけでなく、民主党にまでアメリカからの毒がまわっている。アメリカは、日本で政権交代が起きても、実質的には何も変化せず、うまく管理ができるように準備を整えていた。それは、現在の民主党政権の体たらくを見れば明らかだ。

 日本の政治家や財界人がアメリカからの管理を脱することは大変難しい。しかし、アメリカの衰退が始まっているこの時期から少しずつでも属国の立場からの脱却を準備すべきだ。そのためには、まずは日本の現状を正しく理解することだ。現在の政権与党の民主党までもアメリカに管理されているのだという認識をもっと多くの日本人が持つことだ。今からでも日本がアメリカの属国であり、エリート層には毒が回っているのだということを認識を国民が持つことが重要だ。

 私にとって初めての単著となる本書を出版するまでには多くの方々のお世話になりました。

 まず、私の師である副島隆彦先生にはお忙しい中、貴重な時間を割いて、原稿に目を通し、指導していただきました。また、序文を書いていただきました。心からお礼を申し上げます。

 また、副島国家戦略研究所(SNSI)の先輩研究員である中田安彦氏には、原稿を読んでもらい、多くの助言と励ましをいただきました。中田研究員と話し、整理した内容を基にして原稿を書き上げることができました。ありがとうございました。

 その他にも家族や友人の皆さんにも支えてもらいました。記して感謝します。

 最後に、PHP研究所の大久保龍也氏には、原稿が出来上がるまで辛抱強く待っていただきました。大久保氏のご寛容があり、素人同然の私が本書を出版することができました。深く感謝申し上げます。

二〇一二年三月一日

古村治彦

(貼り付け終わり)

※2012年3月24日に第26回副島隆彦を囲む会主催定例会で、『アメリカ政治の秘密 日本人が知らない世界支配の構造』の発刊を記念して講演を行いました。その時の様子が収められたDVD『今、世界経済がどう変質しつつあるか』が副島隆彦を囲む会から頒布されております。よろしければ合わせてご覧いただけましたら幸いです。DVDのご注文は、こちらからどうぞ。

(終わり)